Nissan Nissan

日産アリアそれは人とクルマをつなぐZEN体験

ARIYA to ZEN

Vol.01

時計師・片山次朗

世界に誇る時計師が感じたZEN体験

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「タイムレス ジャパニーズ フューチャリズム」を謳い、最新技術と日本的な価値観を融合させた唯一無二のEVとして、新たなモビリティライフを提案する日産アリア。
モダンで繊細な美観と、技術の日産が誇る運転支援技術「プロパイロット 2.0」(メーカーオプション)を備えた最新EVは、私たちの暮らしに何をもたらすのか?
今、世界からも注目を集める時計ブランド“大塚ローテック”の創業者・時計師の片山次朗さんが、この先端的モビリティを体験。
カーデザイナーのキャリアも持つクルマ好きでもある。
「機能美」を備える腕時計とクルマ。両者の魅力を熟知する気鋭クリエーターは、
これまでと異なるコクピット体験を通じて感じたことを言葉に紡いでいく。

PROFILE

片山次朗

1971年生まれ。大塚ローテック創業者·時計師。自動車製造会社にてカーデザイナーとして勤務したのちにプロダクトデザイナーとして独立。卓上旋盤の入手を機に時計製作を開始。カメラや電気メーター、ミュージックコンソールなどに着想を得た個性あふれるデザインの腕時計が人気に。腕時計「6号」が2024年、GPHG(ジュネーブ・ウオッチメイキング・グランプリ)チャレンジ部門グランプリ受賞。自身は同年、厚生労働省より「現代の名工」に選出されるなど、時計界で注目される時計師のひとり。

話題の大塚ローテックとは?

今、大塚ローテックの腕時計がアツい。その名のとおり、アナログ的表示の“ローテック”な顔立ちと、生産本数が少ないゆえの抽選販売で、多くの時計ファンを虜にしている。
2024年に新しい仕様で発売した腕時計「6号」が、権威ある「ジュネーブ・ウオッチメイキング・グランプリ(GPHG)」のチャレンジ部門グランプリを受賞。さらに複数の時計が、スイス時計産地、ラ・ショー=ド=フォンにある国際時計博物館に永久展示されており、世界でも注目を集め始めているのだ。
周囲は盛り上がる一方なのだが、当の片山さんは「私が着けたい時計をただ作っているだけ。マーケティングといった類のものとは無縁でして。運良く、欲しいと言ってくださる方がいて成り立っています(笑)」
「好きなことを仕事にしているので、毎日が夏休みみたいなものですね」

飄々と話す片山さんは、自身の生まれ育った東京·豊島区大塚に小さなアトリエを構えて、時計のデザイン·設計に勤しむ。
「大塚在住の、アナログ好きな私、片山次朗が作っている時計。それを宣言したくて、“大塚ローテック”をブランド名にしたんです」

「体温がグッと上がるもの」に惹かれて 「体温がグッと上がるもの」に惹かれて

「自分の好きなもの」にこだわる姿勢から、頑ななデザイン哲学をお持ちかと思えば、その点は否定する。
「哲学と呼べるような大それたものはないのが正直なところです。子供のころから見て触れてきた、自分の原体験がデザインのベースにある。私の場合は、新たな何かを生み出すというよりも、これまでの経験から蓄積された何かを、ふとしたことをきっかけに引き出しから取り出していくイメージです」
実際、大塚ローテックの時計は、昭和生まれの人間ならば共感できる「ノスタルジー」も纏っている。が、そのアイデアの着想方法は、ある意味でデジタル時代の賜物で、インターネットサーフィンが基盤となっているのは、対照的で面白い。
「まずは、イメージを形にしていく落書きのような作業をします。webを漁りながら、自分の興味が惹かれるままにあっちこっちにサーフして、手を動かしていく。すると、自分の体温がグッと上がるような感覚になるときがあるんですね。なんかきた!というか。理屈じゃないんですが、その瞬間は大事にしています。それでも没にするアイデアは、膨大に出ちゃうんですけれどね(笑)」
大切なのは、「体温がグッと上がった感覚」。この瞬間をきっかけに、オン·オフの別なく、途端に時計の構想に没頭してしまう。日常が時計漬けの片山さんだが、かつての職はカーデザイナー。もちろん大のクルマ好きでもある。
「家族がいる今はAT車に乗っていますが、それまでは、ずっとMT車を何台も乗り継いで来ました。スポーツカーに乗っていたときは、サーキットにも通ったり」
そんな片山さんがアリアに乗って、どのような感想を抱くのだろうか。

「和の佇まいに親しみを覚える」 「和の佇まいに親しみを覚える」

「既存のカテゴリーの、どれにも当てはまらないですね」と、第一印象を口にする。
日産アリアは、ダイナミックなこれまでのデザインを継承しながら、グリル部分をボディと同色としたフロントフェイスでシームレスなクリーンさを表現。シンプルななかに個性も発揮する。
「エンジン車は、その搭載位置でデザインでも制限が生まれるのですが、本来EVはそうした文脈から解放されるはずなんです。ただ現行のEVも車種によっては、エンジン不在のゆとりを、分厚い靴底のスニーカーのように、間延びしたプロポーションで帳尻を合わせているものもありますが、アリアにはそれが皆無。デザイン的な一体感を感じます」
カーデザイナーでもあった卓越した分析眼で、アリアのデザインを解剖する。
「その意味で、過剰な押しの強さはなく、従来のクルマに感じない削ぎ落とされた美学を感じました」
乗り込んで外装と内装の両方を見たことで、さらなる気づきを得た模様。
「水平基調のインパネや左右に広がったデザインからは、景色と車内が一体につながっているような感覚が得られました。無駄なく広がりを見せるためでしょう。和の美意識にも通じるなと感じました。欧州車の立体的な、いわば、でこぼこした仕立てとは違い、見た目において“滑らか”な点が印象的です」
「たとえが合っているかわかりませんが」と前置きし、
「造形の印象が、私がこれまで生活してきた日本の住宅の佇まいにどこか似ているんです。デザイン的に余計なことをしていないけれど温かみがある。そんなところに親しみも抱きました」
日本人の美意識については、「微妙な差」を感じ取る感性だという。日本画の画材ひとつとっても、多種多様な色にそれぞれ固有の名前がついており、そうした繊細さはひとつの特徴で、精妙に研ぎ澄まされた美を、アリアにも感じているという。
「日本の時計好きにもディテールを重視される方がおられます。ダイヤルの仕上げや塗装、針の曲げ具合まで。時計界にいても、そうした細部を好む性質は感じますよ」

「運転席にいながら助手席にいるよう」 「運転席にいながら助手席にいるよう」

早速、コクピットでアリアを駆っていただき、走行性能も味わっていただいた。印象深かったのは、やはり運転支援機能の「プロパイロット 2.0」。実際、片山さんもこの試乗によって、人生初のハンズオフ走行を体験したという。
「ハンドルから手を放すなんて最初はドキドキしました。ポンコツ車を押しがけしてきた人間ですからね(笑)。正直“ドライブ・バイ・ワイヤ”(注:金属製のワイヤーや油圧パイプで行っていた操作を、電気信号に置き換えてコンピュータ制御する技術)には抵抗がありました。ただ『プロパイロット 2.0』作動中の時間を運転席で過ごすと、だんだんコンピュータ制御の間合いが掴めてくる。それで安心感も徐々に芽生えてきて、運転席にいながら助手席にいるような気分になるんです。すごく不思議な体験でした」
誰しも最初は初めての体験に緊張することだろう。とりわけMT車好きならば、先端技術に対して少々懐疑的であっても不思議はない。そんな片山さんも徐々に馴染んでいくのは、クルマの挙動に対する理解の深さにも起因するだろう。

「(プロパイロット 2.0での運転は)公共交通機関とはまた違うんですよね。勝手に運ばれるものではなくて、自分がやっぱり操縦するもの。それは今までに言葉がなかった運転感覚なのかな」
「景色を見るのが好き」という片山さんは、運転操作から解放された新鮮な乗車体験により、新たなクルマの楽しさを再発見したようだ。
「能動的に移動に関わりながら、その一方で煩雑な操作からは解放される。例えば、乗員みんなで同じ景色を味わえるし、目的地への会話も通常運転時以上に弾むでしょう。運転手、助手、パッセンジャーの隔てなく、同じ空間で移動が楽しくなるのは、クルマの空間としてのあり方が変わるように感じます。なんか運転手っていつも仲間外れじゃないですか」
そして、実際にアリアのハンドルを握り、走行してみた印象も語っていただいた。
「デザインにも感じた滑らかさが運転操作においても通底しているようです。ハンドル操作、挙動、加速などのすべてがシルキー。それは驚きでした。“技術の日産”は、その言葉のとおり最新のテクノロジーの分野でも抜かりない印象を受けました」と、エンジン車においては酸いも甘いも噛み分けてきた片山さんらしい実感のこもった感想も。

「今日は高速道路走行でしたけど、ぜひサーキット走行も試してみたい。滑らかな走行が持ち味のクルマが、サーキットでどんな表情を見せてくれるのか。それは、さぞ楽しいだろうなって」と、最後はエンスーな面が顔をのぞかせる。
「結局、クルマも2つの方向に進化を遂げているのかなと感じます。従来の内燃機関車のさらなる成熟と、アリアのように従前のクルマにはなかった画期的なテクノロジーや発想を追求していくもの。腕時計もぜんまい駆動の機械式もあれば、スマートウォッチやクォーツが実にうまく共存しています。それぞれ異なる道ですが、それぞれに意味や魅力、あるいは利点があるものです」
アナログに惹かれる片山さんも、先端技術に対してより身近に感じていただけたようだ。

「クリエイションへの貢献も期待したい」 「クリエイションへの貢献も期待したい」

運転時に意識・処理しなければならない、さまざまな負担が取り除かれると、そのぶんドライバーには余裕が生まれる。その余裕が生み出した“間”ともいえる新しい時を「発想」「整理」「リセット」の場として使う可能性について問うてみる。
「自分がどう使えるのかという点は、今のところは判然とはしないんですけど」と言葉を繋ぐ。
「自分がアイデアを練るときは、電話がかかってきてほしくないですし、違う用事もやりたくないものなんです。創造的な行為をしているときは、集中しながら、気持ちをその場所に置いておきたいんです」
それは、この新型アリアに乗ることで実現できるのだろうか。
「例えば、実際自分のクリエイションにも大きな影響を与えてきた京浜工業地帯の景色なんかは運転支援システムのおかげで印象は変わるかもしれません。運転する行為のなかで雑味が減ると気持ちが整って、見る景色の純度が変わって、より深く味わうことができるかもしれませんよね。ちょっと解決したいアイデアを考えるときも、有効なのかな」
そして今回の新体験で予感したこと。
「パソコンの前でもないし、電車の中でもない。これまでの運転席の感覚とも違う、刻々と景色の変わる移動空間。クリエイションの場として考えたときに、自分ならそこで何をするのか、どういう思考になるのか。できれば、これから試してみたいです」
クリエイションに貢献する可能性に期待する片山さん。運転支援システムが生み出す新しい時間の過ごし方に、広がる未来を感じたようだ。

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