先進技術はもちろん、基礎技術を格段に高めたことで、「日産 アリア」のダイナミック・パフォーマンスを新たな次元に引き上げることができました。

「日産アリア」を生み出したマイスターたち

先行車両性能開発部 担当部長
味村 寛

「ニッサン インテリジェント モビリティ」の象徴として日産の技術の粋を集めた「日産 アリア」の開発に携わったエンジニア達のインタビューから、このクルマに込めたエンジニアとしてのこだわり、革新的な技術を生み出した開発の裏側、そして「日産 アリア」に息づく日産のDNAをオリジナルコンテンツとしてお届けしていきます。

今回は、すべてのお客さまにあらゆるシーンで日産車のよさを感じていただくための“ダイナミック・パフォーマンス技術”を取りまとめる味村から、「日産 アリア」に込めたドライビング性能をお伝えします。

味村 寛

先行車両性能開発部 担当部長

50年前から受け継がれる日産のダイナミック・パフォーマンス

日産では全モデルで「すべてのお客さまが常にあらゆるシーンで日産車のよさを感じていただける」走りを目指しています。

では、“日産車のよさ”とは何か。私たちは“いつでも、どこでも、だれでも、安心して快適に移動できる”ことだと考えています。
そのために、運動性能、静粛性や快適性、操作性に関わるさまざまな技術を統合して、性能を高める。
これこそが日産のダイナミック・パフォーマンスの土台となるもので、軽自動車のデイズからハイパフォーマンスカーのGT-Rまで一貫しています。

もちろん街中を多く走るモデルとドイツのアウトバーンを300km/h近いスピードで走るスポーツカーでは、安心・快適の方向性は異なります。
それでもすべてのクルマに一貫して安心・快適が備わっていることが日産のダイナミック・パフォーマンスの真髄です。

私は日産に入社してからずっとシャシー畑を歩んできました。
この10年は、すべての日産車のハンドリングと乗り心地の開発に関わっています。
その評価を行う際の軸が、「いつでも、どこでも、だれでも安心・快適か」なのです。
日産のダイナミック・パフォーマンスは、まだこの言葉が生まれる前、510型ブルーバードやGC10型スカイラインGT-Rの頃から日産の技術陣の中で脈々と受け継がれてきました。

「日産 アリア」にはプレミアムEVに相応しいシャシー性能が不可欠

では、100%電気自動車のプレミアムSUVである「日産 アリア」のダイナミック・パフォーマンスを高めるためには何が必要でしょうか。

電気自動車は重量物であるリチウムイオンバッテリーを搭載するため、「日産 アリア」の車両重量は必然的に重くなります。
走る、曲がる、止まることにおいてクルマの重さはマイナス要素になります。
そこで、まずはどんな道でもステアリングの修正なしに安心してきれいに曲がれなければなりません。

また、プレミアムモデルの「日産 アリア」は、ドライバーはもちろん、すべての乗員が快適に移動できなければなりません。
そのためには走行中にボディがゆすられるような不快な動きが出ないことも重要です。
さらに「日産 アリア」の4輪駆動車は前輪と後輪を別のモーターで動かします。
例えるならハイパワーエンジンを2基載せているようなものです。

パワーや重さを確実に受け止め、振動などもしっかり吸収する。
「日産 アリア」にはプレミアムEVに相応しいシャシー性能が必要だと私たちは考えました。

どのグレードでも「日産 アリア」らしい走りを味わえるセッティングに

プレミアムEVに見合うダイナミック・パフォーマンスを与えるために「日産 アリア」はリアにマルチリンクサスペンションを採用し、さまざまな方向から入る振動を吸収するとともに、操縦安定性を高めました。

電動パワーステアリングは国内で販売される日産車で初めてラックアシストタイプEPSを採用しました。
電動パワステは燃費性能を高められるとともに、操舵力を自由に設定できるというメリットがあります。
一方で、油圧式のパワーステアリングに比べて回転するモーターを止める制御が難しくなります。

ラックアシストタイプEPSは従来の電動パワステのモーターを制御するのが難しい原因の一つだった“慣性力”が小さいため、正確な操舵がやりやすくなります。これにより重い車体でもステアリング修正をほとんどせずにコーナーを曲がれるようになりました。

「日産 アリア」は2WDと4WD、そして65kWhと90kWhという4つのグレードを用意しました。
シャシーの基本性能が高い「日産 アリア」は、2WDでもプレミアムEVに相応しい上質な走りをお楽しみいただけます。
4つのグレードは車両重量も異なりますが、どれをお選びいただいても「日産 アリア」のダイナミック・パフォーマンスを体験していただけるように、シャシーのセッティングを変えています。

どれだけ先進的な技術でも、優れた土台がないときちんと仕事ができない

1990年代以降、電子制御技術は飛躍的に進化しました。しかしどれだけハイスペックな技術が生まれても、クルマは土台がしっかりしていないと電子制御にきちんと仕事をさせることができません。

また、さまざまな制御をどうまとめるかで、“安心・快適”の感じ方は変わってきます。

「日産 アリア」は日産が培ってきた電気自動車に対する膨大な知見と経験、そして高度なレベルでバランスさせた基礎技術と先進技術を融合して、ダイナミック・パフォーマンスを新たな次元に引き上げました。

それをもっとも感じていただけるのがワインディングロードです。
上りでも下りでも、モーター駆動の力強い走りや、スムースなコーナリングを存分に体感いただけます。
「日産 アリア」のダイナミック・パフォーマンスは、間違いなくこれからの日産のスタンダードになります。
その乗り味を多くのお客さまに味わってほしいですね。