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胸の奥にたぎらせた熱き姫路の職人魂
職人としての「現場」
職人としての「現場」
 真夏、その日の姫路は35度を超えていた。純白に彩られた姫路城のもと、大小様々な建設業者がしのぎを削るその一帯に、八田の働く中播住宅設備株式会社がある。
 多くの現場がそうであるように、八田の朝もまた早い。毎朝五時には必ず目覚め、自ら作った朝食を摂り、その日の現場へと向かう。そんな八田が日々の過酷な現場をこなすために、いつも心がけていることがある。それが『生活のリズム』だ。

「特別なことはしていないけど、毎朝のリズムだけは大切にしています。一日の始まりを同じルーティンで続けていることが、一番しんどい時に大事になってくる」
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 八田の働く中播住宅設備株式会社の業務は多岐に渡る。新築の什器取り付けや壁紙の張り替えなど、細かな作業を伴うリフォームの仕事もあれば、各家庭に結ばれる上水道管の取り替えることもある。時には、湿って重くなった土砂をシャベルで日に何百回も掻き出さなくてはならない。夏の日差しの中で行われるこの『開削』は、現役のアスリートでも音を上げるほど苛烈さを極めるものだが、これまで八田がその苦しさを口にしたことはない。
「しんどいのは、当たり前。自分が職人として現場で考えているのは、品質と見た目の美しさ。でも、現場によっては、予算と納期によってどうしても妥協せざるを得ない局面も出てくる。そんな時、現実の厳しさを感じますよ」
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仲間との絆
仲間との絆
 現場にいる間、八田はとにかく黙々と働き続ける。その表情に迷いはなく、明確な目的と意思に満ちている。いつも現場には、そんな八田を慕う仲間の職人たちの姿がある。
「うちは道路・建物・配管と3班に分かれているんですけど、どの現場が先に終わっても、他の現場が遅くなる時は手伝いに行くんです。お互いに、辛いことはわかってるから。経験にばらつきがあるけど、大変な時期を一緒に乗り越えてきた仲間やから、横の結束は強いと思います」
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現場と人生
現場と人生
 現場では、常に複数の作業が進行する。同時にその一つ一つが、気を抜けば命に関わる危険を伴う。各現場の優先順位を見極め、納期を守りつつ、品質を確保するのが、キャリアの長い八田の役目だ。
「自分が入社したのは阪神大震災以降だったから、幸いにも大きな災害に対応したことはなくて。でも、冬の大規模寒波の後に破裂した水道修理に追われた時なんか、町のライフラインに役立つ仕事をしているんだなと実感しましたね」
 自分の仕事がどこかで誰かの役に立っているという実感。その重い責任の中にこそ、現場の仕事のやりがいがあるのだと、八田は握ったシャベルに力を込めて話す。
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 最後にこんな質問をぶつけてみた。

——— あなたにとって『プロフェッショナル』とはなんですか?

「難しいこと聞くね。……いろいろあると思うけど、例えば、さっき埋めたあの配管は土に隠れてしまうものでしょう? そういう、仕上がってからは誰にも見えないような部分に、どれだけ魂込めた丁寧な仕事ができるか。それだと思うね」
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1971年07月17日
(兵庫県姫路市)

職種:水道工事業

職歴:15年

会社名:中播住宅設備株式会社

ケーブル類は縛ってまとめ、大きくかさばる工具や機械は中央へ。天井の純正穴に備え付けられた手作りラックのおかげで、走行中にバラバラになることもない。 現場の仲間同士で道具の位置を共有することで、飛躍的に作業効率が高まったという。