V6エンジンでつくられたロボット「a-Bot」

厚木にある日産テクニカルセンターに飾られているロボット「a-Bot(エイ・ボット)」。
実際のエンジン部品をもとにしてつくられた「a-Bot」誕生の背景を調べてみました!

「a-Bot」誕生に向けて

2010年7月28日、厚木の日産テクニカルセンターで行われた社内セミナーで初披露された「a-Bot」。
エンジン設計などを行なっているパワートレイン実験部が、日々磨き続けている"モノづくり力"を発表するためにつくられました。その部品は、彼らが設計しているV6エンジン(VQ37VEエンジン)の部品。それをロボットの各パーツに見立てるところから、動くオブジェの設計は始まりました。

「a-Bot」のデザインを手がけたのは、普段はエンジンがさまざまな環境化で正しく動くかなどをチェックする機能信頼性実験のマネージャーを務める安保。趣味で描いていたロボットのイラストがとても好評で、以前から社内で展示会用のポスター制作を担当していました。このとき、「a-Bot」制作の話を受け、安保たちがまず行ったのは、素材となるV6エンジンの部品を確認して、「a-Bot」の概要を作り上げること。実際に部品を手に取りながら、ホワイトボードに組み立てイメージを描き上げていったそうです。概要ができたら、本体の写真をもとにデッサンを仕上げ、「a-Bot」のデザインが完成しました。

  • 安保が描いていたラフスケッチ
  • フェアレディZの部品を使って描かれた展示会用ポスター
  • 「大友克洋さんをイメージした」という「a-Bot」の社内セミナー用ポスター

制作スタート

安保のデザインが完成し、いよいよ始まった「a-Bot」制作。パワートレイン実験部のメンバーにとってもロボット制作は未知の領域。試行錯誤の組み立て作業が始まりました。
まず直面した課題が、エンジンやマニュアル・トランスミッション、ディファレンシャル(ケースギヤ)などの部品を組み立てて接合すること。実際のクルマに使われている部品を使っているため、その重さも150kg以上と、かなりのものだったとか。接合どころか、部品を移動するのも大変で、他部署の協力を得て、全体の重量バランスを取りつつ、組み立てていったそうです。
また、「a-Bot」は本体につながったアクセルを踏み込むことでピストンが動き、電気部品が作動する仕組みになっています。その制御システムをアクセルの動きと同期させるのもまた困難だったとか。

  • 部品を見ながら完成図をイメージ
  • 協力して頭の部品を組み立てる社員たち
  • アクセルとの連動を何度もテストして調整

「a-Bot」完成

約2ヶ月かけて完成した「a-Bot」。2010年7月28日に行われたセミナーで発表すると、その反響は予想以上!「すごく面白かった」「今度はL4エンジンで作って欲しい」「腕も動かせるようにして欲しい」など、とても好評。
セミナー後も人気の高さに各地での展示を検討したそうですが、その重さ故、断念。パワートレイン実験部がある棟の1Fに展示されることになりました。私たちにっちゃんスタッフが「a-Bot」に出会ったのも、その場所。2年以上たった今も電源を繋げば、当時のままに動くそうです。日産の"モノづくり力"の一端が、ここにも確かにありました。 最後に制作に携わった社員と「a-Bot」の姿をご紹介します。