ついに登場!史上最強のスカイライン。<br>専用ハイパワーVR30DDTTエンジンだけじゃない、走りたくなる味わい深さが魅力

新型スカイラインに登場した「400R」とは?
最高出力405psとは?

とにかく圧倒的なエンジンパワー。まずはそこに尽きる。
405psというエンジンパワーは国産セダンにおいて驚異的な高出力で、たとえば俊足のスポーツセダンとして海外でも熱狂的なファンも多いとある国産車でも最高出力は308ps。今年話題になった国産ブランドの超高性能スポーツカーでも340psだ。一般的な物差しでいえば300psを超えれば十分に高出力モデルにカウントされるといえる。国産セダンにおいて400psを超えるようなパフォーマンスを秘めたセダンは、スカイライン「400R」以外には1000万円級のハイエンドモデルだけしか存在しない。

スカイライン400Rの外観

400Rはスカイラインシリーズにラインナップされ、専用のカタログが用意されるなど特別な存在として込められた想いがひしひしと伝わってくる。そのこだわりは高出力エンジンだけに留まらず、エクステリアにも特別な演出が施されている。ひとめでわかるのはトランクリッドの「400R」エンブレムとブラックに塗られたドアミラーだが、エクステリアではガンメタリック塗装の19インチアルミホイールやレッドのブレーキキャリパーも400Rだけに備わる識別点。さりげなく、そして高性能モデルらしく足元で差別化しているのがなんともニクい演出だ。

ホイールの隙間からレッドのブレーキキャリパが覗く

しかし、400Rの特別な演出はそれだけにとどまらない。ドアを開けると見えてくる世界も通常モデルとの差は歴然であり、サイド部にダイヤキルティング処理を施したラグジュアリーな本革シートがドライバーを迎えてくれる。高性能がウリの400Rだが、インテリアは標準仕様にも増して気品あふれる大人のセダンに仕立てられている。

大人の気品溢れるスカイライン400Rのインテリア

納得なのがフロントシートの機能だ。スライドやリクライニングに加えて左右サポート部の張り出しまで電動調整できるのである。普段は締め付けを抑えてゆったりとドライブし、峠道を楽しむ時にはサポートを強固にして身体をしっかり保持させるという切り替えもスイッチ一つで調整できるのが嬉しい。デキる高性能車はオンとオフの切り替えも上手、というわけだ。

スカイライン400Rのフロントシート
スカイライン400Rのリヤシート

そして、見逃せないのがハンドルを握ったまま任意のシフトアップ/ダウンができるパドル。標準仕様のスカイラインとは仕上げだけでなく形状まで違うのだから驚いた。
なんとGT-Rの最新モデルと同じ形状で剛性感が高く、そのストロークも十分に確保されている。つまり、単純なスイッチではなくパドルの動きを通じてシフトチェンジの触感を指先で楽しめるわけだ。さらにクロームメッキ+ダーククリア塗装で質感も高い。「神は細部に宿る」というけれど、特別なパドルシフトなんて素敵すぎるじゃないか。

高性能車にとってパドルはクルマとドライバーとをつなぐ重要な接点であり、いろんなクルマに触れるボクのような仕事をしているとどんなパドルを組み合わせているかで開発側のこだわりが見えてくる。

ステアリング奥にはパドルシフト
400Rのパドルシフトは特別なもの

ドライバビリティ重視、走りの魂が宿っている

クルマに乗り込み、一般道をいつものように走り出す。そんな日常的な運転でも、このエンジンに走りの魂が宿っていることがわかる。…なんて書くと「大げさでは?」と感じるかもしれないが、走り出す瞬間のアクセル操作に対する鋭い反応からしてドライバビリティ重視で作られていることがしっかり伝わってくるのだ。そこから先、アクセルを踏む量を増すとドライバーの意図を汲み取るように、アクセルを踏む右足とエンジンの回転上昇がしっかりリンクするのがいい。さらには澄んだスポーティな音を奏でるとともに、鼓動にも通じる脈を打つような感覚が心地いいのである。

スカイライン400Rのリヤビュー

VR30型エンジンは日産が新たに開発したV型6気筒エンジンで、ターボとの組み合わせを前提に設計。通常仕様のVR30DDTTでも304psのパワーを発生する。しかも、400Rに搭載する高出力仕様ではなんと101psも増しているのだから凄い。
そもそも、最高出力発生回転数が6400rpmというのは昨今のV6ターボとしては異例の高回転型。いま、エミッションなどエンジンに対する縛りが世界各地で厳しくなっているし、燃費に対する配慮もあるから高回転型とするのはトレンドではない。しかし日産はこうして高回転型エンジンを送り出してきたのである。「高回転が気持ちいいほうが楽しいでしょ!」とでも言いたげに、だ。

スカイライン400Rに搭載されるVR30DDTTエンジン

「Ward’s 10 Best Engines」アワード受賞のVR30DDTTエンジン

そんな400R専用VR30DDTTの高出力を支えるのは、なんといってもタービンだ。湧き出すパワーを達成するためにさぞかし大きなタービンを使っているのかと思いきや、なんとレスポンス重視の小径タービンを使っているという。ターボの過給圧を高め、400R専用アイテムである「ターボ回転センサー」を用いてしっかりとコントロール下に置きながらきっちりと回転限界までタービンを超高回転でぶん回すことで405psを引き出すのだ。それがシャープなレスポンスとハイパワーを両立する秘密である。
タービンで暖められた吸気を冷やすために組み合わせるインタークーラーは水冷式。それ自体はベース車と同じだが、400Rでは強化ウォーターポンプを採用してインタークーラーの冷却性能を向上。エンジンのポテンシャルアップをサポートしている。
ちなみにVR30DDTTは、先行して発売した北米において2年連続で「Ward’s 10 Best Engines」というアワードを受賞。このエンジンが気持ちいいと思えるのは、日本人だけではないようだ。

VR30DDTTエンジンを確認する工藤レポーター

どの速度域からも瞬時に感じられる加速力

高速道路へ入って実感したのは、その扱いやすさだ。わずか1600rpmから475Nmを発生する低回転域の極太トルクは、どんな速度域からでもアクセルを踏むだけで瞬時に加速するのだから心強い。それこそ7速で1600rpmからでもスーッと自然に加速を始める粘り強さがあるし、2500rpmを超えたあたりからパワーが一段と湧き出してくるので一般的な加速ならこれで十分。
いっぽうで、アクセルを踏み込めば、弾丸かそれともロケットか、というくらい豪快に加速する。それはそれで刺激的で楽しいのだが、高速道路でのVR30DDTTで味わい深いのはやはりアクセルをジワリとわずかに踏み込んだ時のエンジンの反応だ。爆発力ではなく、エンジンのビート感がなんとも心地いい。そしてエンジンが気持ちよく反応するから、絶妙なアクセルワークが超絶楽しいのだ。

高速走行でのスカイライン400R

昨今は先進性があって燃費も優れるハイブリッドが急速に広まっていて、確かにそれも魅力的なパワートレインだ。しかしそんな今だからこそ、心地よいハイパワーエンジンをしっかりと楽しんでおきたいとも思うのはクルマ好きの素直な気持ちだろう。この先の自動車のトレンドや社会的状況を考えると、スカイライン400Rのように大排気量のハイパワーで、電動化されていないピュアなパワートレインはいつまで楽しめるかわからない。だからこそ、クルマ好きなら心地よいエンジンを今のうちに楽しんでおくべきだし、そう考えたときに400Rのエンジンフィールはまさに今、堪能しておくだけの魅力と価値に溢れている。

圧倒的走行性能に加え高速での快適性も併せ持つ

もうひとつ、高速道路を走っていて感心したのは安定感だ。シャシーとサスペンション、そしてステリングの素性がよく路面に張り付くような安定性を実感できる。それを実現しているデバイスのひとつが、「インテリジェント ダイナミックサスペンション」と呼ぶ電子制御ショックアブソーバー。約100分の1秒というとんでもない速さで4輪それぞれに最適な制御を実施するというそれは、ダイナミックに走る際には車体とドライバーの一体感を高める働きをするし、高速道路のしっとりとしたハンドリングにも寄与する。標準仕様と異なる400R専用のチューニングになっている。

また、ステアリングフィールに雑味がないのも印象的だ。ステアリング操作中の操舵力が安定しているので、狙った走行ラインをしっかりとトレースできる。

実はハンドルの仕組みに秘密があった。400Rの操舵は「ダイレクトアダプティブステアリング」といい、なんとシャフトなど機械部品として物理的にハンドルがタイヤに直接繋がっていない。そのメリットとしてステアリング操舵フィールがドライバーの感覚に反しないように作り込まれているのである。

いっぽうで驚いたのは高速巡行での快適さだ。圧倒的な走行性能を誇る400Rだから乗り味にどこかに荒さがあるかと思いきや、それはまったくの杞憂に終わった。プレミアムカーにふさわしい、それこそ後席に大切な人を乗せるのにも何ら問題のない快適性だ。静粛性は言うに及ばず、乗り心地も良好なのは予想外だった。路面から受ける衝撃を吸収しにくい19インチタイヤ(245/40R19でランフラット)を履いているにもかかわらず、である。
いっぽうで、不整路面などでは車体の上下動を抑えてフラットな姿勢をキープし、乗り心地を穏やかにしてくれる効果もある。強靭なプラットフォームに加え、状況に応じて最適なサスペンション制御をおこなうインテリジェントダイナミックサスペンションが効いているのだろう。

ハンドルとタイヤは機械的に接続していないさらに感じたのは、ハンドルから伝わってくる衝撃の少なさだ。たとえば路面の段差や橋の継ぎ目を越えた時、普通はその衝撃がハンドルを通してドライバーの手に伝わる。しかし、400Rにはそれがない。なぜなら、ハンドルとタイヤが物理的につながっていないことのメリットを生かし、ダイレクトアダプティブステアリングがタイヤへの衝撃を吸収してドライバーの手に伝えないからだ。

後輪駆動ゆえの大地を蹴る感覚が
楽しませてくれる

高速道路を降り、ワインディングロードへ入る。
ここぞとばかりにアクセルを踏み込むと、とにかく速い。ドライブモードセレクターを「SPORT+」にするとエンジンはさらに勢いを増し、アクセル全開時のシフトアップはメーター読みで6800rpmまで引っ張ってから。淀みなく湧き出すパワーが回転上昇に応じてどんどん盛り上がっていくフィーリングが何とも爽快。楽しすぎて、思わず笑みが出てくる。

ワインディングを駆け上がるスカイライン400R

405psもあるのだから、その加速性能は尋常ではないレベルにある。しかし、むしろ驚いたのは圧倒的な加速よりもそのフィーリングだ。昨今のターボエンジンは低回転域のトルクが太くて実用的ないっぽうで、高回転の爽快感に欠けることが少なくない。しかし400Rのエンジンとはそんなトレンドは無縁で、その刺激的なフィーリングは高回転型自然吸気エンジンのように澄み切っている。気持ちよさゆえについついエンジンを回し気味に走ってしまう。エンジンに込められた魂が「もっと回して」とあたかもドライバーを誘うような魅惑的な感触だ。ドライバーにとっては至高のドライビングプレジャーを満喫できる。

ワインディングを走るスカイライン400R
ワインディングでのスカイライン400R

ハンドリングは、そんなエンジンの魅惑との相乗効果で走りを楽しませてくれるものだった。そもそもスカイラインは後輪駆動だから、前輪で方向を決めながら後輪で大地を蹴る感覚が強い。旋回中にクルマが気持ちよく向きを変えてくれるのである。
コーナリング時の車体の反応はとにかくリニアで、ドライバーが狙ったラインをしっかりとトレースできるのがいい。単にシャープなクルマは他にたくさんあるが、クルマとの一体感をここまで感じられるセダンはそう多くない。
ドライブモードセレクターを「SPORT+」にするとサスペンションは一段と締め上げられて、ハンドリングはより俊敏かつより動きが軽快に。車体がひとまわり小さくなったような感覚だ。いつまでも走っていたくなってくる。

そのうえで心を奪われたのは、ハンドルから伝わってくるインフォメーションがとてもピュアだったことだ。前出のように400Rのステアリング系統は電気信号を介して動くもので、物理的にタイヤとつながっていない。それゆえに、一般的なクルマと違ってキックバックと呼ばれる路面からの衝撃がハンドルに伝わることがない。そのため、ドライバーは雑味の取れた“おいしく楽しい感覚”だけを受け取ることになる。それはあたかも雑音を消すノイズキャンセリングヘッドフォンのようであり、澄んでいるのだ。そのピュアさに心を奪われた。

コクとキレが生み出すどこまでも走りたいと思わせる味わい深さ

正直なところ、試乗前は400Rの最大の魅力がパワフルさにあると思っていた。そして実際に走りを味わった今でもその加速性能が強烈で心を惹きつけるものだったことには変わりない。
しかし、試乗を終えるころには、ボクは400Rの別の部分に強い魅力を感じた。エンジンパワーそのものよりも、湧き出すようなトルクが生む「コク」とシャープな吹け上がりがもたらす「キレ」が醸すフィーリングに恋してしまったのだ。それを踏まえて結論じみたことを言えば、400Rで走りを楽しむということは、どこまでもアクセルを踏みたくなるような爽快感を味わうことである。

最先端テクノロジーで作られた400Rのエンジンが何より大切にしていたのは、ドライバーの感性に訴えかける躍動感だった。確かにパワーは秘めている、しかしそれ以上に印象として鮮烈に残ったのはこのVR30DDTTエンジンがドライバーにもたらしてくれる味わい深さだ。

400Rは、そんなエンジンの完成度の高さに加え、ダイレクトアダプティブステアリングによる爽快で澄み切ったステアリングフィール、そしてインテリジェントダイナミックサスペンションによる緻密なサスペンションの動きが一体となって極上のドライビングプレジャーをもたらしている。まさにスポーツセダンであるスカイラインを象徴する、最高峰のモデルだと確信した。
スカイラインの歴史は、新しい技術を積極的に投入し、ドライバーに極上の走りを味わわせるセダンの歴史である。400Rは間違いなく、その歴史に新しい1ページを刻む存在となるだろう。

スカイライン400Rのエンブレム

(文・工藤貴宏/撮影・ダン アオキ)

ギャラリー

  • 高速走行でのスカイライン400R

  • ハンドルとタイヤは機械的に接続していない

  • ワインディングを走るスカイライン400R

  • 伝統の丸テール

  • ワインディングでのスカイライン400R

  • ワインディングを駆け上がるスカイライン400R

  • 峠を駆け抜けるスカイライン400R

  • スカイライン400Rのトランクルーム

  • スカイライン400Rのトランクスルー

  • トランクと繋がる可倒式リヤシート

  • 分割可倒式のリヤシート

  • スカイライン400Rのインスツルメントパネル

  • シフトセレクター手前のスイッチ類

  • LEDヘッドランプ(ハイ/ロービーム、オートレベライザー付)

  • プラズマクラスター搭載インテリジェントエアコンシステム

  • インテリジェント LI(車線逸脱防止支援システム)を始め、走行支援システムも充実

  • Apple CarPlay・Android Auto連携機能搭載NissanConnectナビゲーションシステム

  • スカイライン400Rに搭載されるVR30DDTTエンジン

  • VR30DDTTエンジンを確認する工藤レポーター

  • スカイライン400Rの外観

  • ホイールの隙間からレッドのブレーキキャリパが覗く

  • 大人の気品溢れるスカイライン400Rのインテリア

  • スカイライン400Rのエンブレム

  • スカイライン400Rのフロントシート

  • スカイライン400Rのリヤシート

  • ステアリング奥にはパドルシフトが

  • 400Rのパドルシフトは特別なもの

  • 工藤貴宏レポーター

  • スカイライン400Rのリヤビュー

スペック

日産スカイライン400R
ボディサイズ 全長4810×全幅1820×全高1440mm
ホイールベース 2850mm
トレッド 前/後 1530 / 1560mm
最低地上高 130mm
車両重量 1760kg
エンジン型式 VR30DDTT
エンジン V型6気筒DOHC直噴ツインターボ
エンジン排気量 2997cc
ボア×ストローク 86.0×86.0mm
圧縮比 10.3
最高出力 298kW(405ps)/ 6400rpm
最大トルク 475Nm(48.4kgm)/ 1600~5200rpm
トランスミッション 電子制御7速AT
駆動方式 2輪駆動(FR)
ステアリングギヤ ラック&ピニオン
サスペンション F ダブルウイッシュボーン / R マルチリンク
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(F / Rとも)
タイヤサイズ 245 / 40RF19(F / Rとも)
燃料消費率 WLTCモード 10.0km / L
車両本体価格(税込) 5,625,400円

工藤 貴宏(くどう たかひろ)

大学在学中の自動車雑誌編集部アルバイトを経て、1998年に月刊新車誌の編集部員となる。その後、編集プロダクションや電機メーカー勤務を経て、2005年からフリーランスの自動車ライターとして独立。使い勝手やバイヤーズガイド、国内外のモーターショーなども含め広く新車紹介を中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆記事においては「このクルマは誰を幸せにできるか?」を常に考え、車両とユーザーとの最適なマッチングについてのガイドを心がけている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

工藤貴宏レポーター