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  • Jul.13
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「人とくるまのテクノロジー展2016横浜」Report

2016年5月に三重県で行われたG7伊勢志摩サミットにおいて日本の自動運転技術が披露されたように、自動運転技術の開発は急ピッチで進んでいます。技術開発を進める自動車メーカーや部品メーカーなどが参加した「自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展」を取材。各社の展示や講演会から、自動運転の今後を考察します。

「人とくるまのテクノロジー展」とは

自動運転の世界を今後見ていく中で重要なことは大きく分けて2つあります。それは

です。

その後者にあたるテクノロジーの進化を探るべく、パシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展」を取材しました。

このイベントは公益社団法人自動車技術会が主催するもので、自動車の世界で業務に携わる技術者や研究者向けの専門展として1992年に始まりました。メディアはもちろん一般来場者も多く、今年度も538社が参加し、8万7375名が来場しています。

自動車メーカーやサプライヤーの技術発表やビジネスの場所として積極的な展示が行われました。

既存技術も自動運転に対応できる形に進化する

自動運転に必要な技術としては車両側に3つの要素が求められます。それは「認知」「判断」「操作」です。

これらを実現するためのセンサー類や通信技術、さらにダイナミックマップと呼ばれる従来とは比較にならないほど高精度なデジタル地図、また人工知能や車両自体を実際に動かすための各種モーター類も必要となります。

今回の展示ではカメラやセンサーが人、クルマ、車線、信号などをリアルタイムに認識し安全運転をサポートする技術の他、自動運転に繋げるシステムや車両を動かすEPS(電動パワーステアリング)を2系統化させることで万が一エラーが発生してもシステムを停止すること無く自動運転を継続できる技術など、従来の技術から将来の自動運転に繋げようという考えが見えてきます。

人とクルマの協調に欠かせないHMI

前述した要素の他に自動運転では車両と人の協調も欠かせません。そこで重要となってくるのが自動運転を行うクルマと人との関係をスムーズに行うHMI(Human Machine Interface)と呼ばれるものです。

HMIの場合、特にカメラやセンサー類が収集した情報をどう加工しドライバーに伝えるかがポイントとなります。そのために従来からあるHUD(ヘッドアップディスプレイ)を大きくすることで自動運転によって増えていく情報を効率よく表示したり、自動運転中にステアリングから手を離さずに普段通りにスマートフォンを使えるユニークな技術も展示されていました。

また車外だけでなく、車内にいるドライバーもカメラで認識することで万が一に健康状態に異変が生じた場合、自動運転を使い、安全なエリアまで退避させ救急車両の手配などを行う技術も展示されていました。

国が考える「運転の自動化による3つの意義」

今回のイベントでは自動運転に関わるものとして「SIP自動走行システムの取り組みについて」の講習会が実施されました。登壇したのは内閣府で自動運転の取り組みを行っている政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付、企画官の森下信氏です。

SIPとは「戦略的イノベーション創造プログラム」の略です。社会的に不可欠で日本の経済・産業競争力にとって重要な課題を選定し、府省や分野を超え、官民一体で世界に通用する技術を開発しようというプロジェクトです。自動走行システムは全部で11ある対象課題のうちのひとつになります。

森下氏からは自動運転の社会的/産業的意義として
●交通事故死者数を2014年の4113人から2018年には2500人以下にする目標
●2030年までに「世界一安全で円滑な道路交通社会」を構築する
●産業面で競争力強化や関連産業の市場拡大・創出することで未来社会の礎を作る
などが語られました。

世界各国の自動運転

世界各国の自動運転の実情に関しても紹介がありました。米国では州ごとに公道実証実験が行われ法規制の整備も着々と進んでいます。欧州ではERTRAC(欧州道路交通研究諮問会議)が自動走行に関する全体としてのロードマップを発表、国レベルでは自動車産業を保有するドイツ、フランス、スウェーデン以外のオランダ、フィンランドなどでも実証実験に向けた制度整備を進めているようです。一方、企業レベルでも米国では自動車メーカーとIT系企業がそれぞれ独自の考えで取り組みを行っています。

課題を超えて自動運転の世界へ

乗り越えなくてはならない問題もあります。自動運転に必要な技術やインフラの中でも特に重要なものが「自車位置推定精度」の高度化です。このために必要なのが高精度地図(ダイナミックマップ)なのです。従来の紙の地図から時代はカーナビゲーションやスマートフォンなどのデジタルマップへ進化しました。しかし自動運転には専用の3次元の地形情報をベースとした、これまでとは比較にならないほど高精度な地図が求められます。また同時にセキュリティの問題やインフラの問題もクリアする必要が有ります。それでもテクノロジーは日々進化しており、自動運転の世界はいくつかの段階を経て我々の生活に確実に近づいてきています。

文章:高山 正寛(たかやま せいかん,TAKAYAMA-Seikan)

1959年生まれ。自動車専門誌で20年以上にわたり新車/カーオーディオ/カーナビゲーションなどの記事を担当し、フリーランスへ。途中、エンターテインメント業界で5年間ゲーム関係のビジネスにも関わる。カーナビゲーションはもちろんITS(高度道路交通システム)、先進安全技術、自動運転など各自動車メーカー、サプライヤー、官庁関連への取材多数。自動運転に関しては連携も考慮し、通信/PCを含めたデジタルビジネスの領域にも精通する。また自動車を産業面やマーケティング、組織、人材面からも捉え、アナリストとの連携も行うなど独自の取材スタンスを取り続けている。2015-2016日本カーオブ・ザ・イヤー選考委員、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

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