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  • Jul.13
  • Academic

国内外で実用化されている無人運転の公共交通

クルマの自動運転は実用化に向けて歩み始めたばかりですが、公共交通機関ではすでに自動運転が導入されています。こういった乗り物は専用軌道を走行するので、歩行者や自転車に対してのケアが必要ないため、比較的簡単に実現できたのです。しかし、クルマは歩行者や自転車だけでなく、対向車や右左折車などセンサーで検知する対象物が非常に多く、自動運転の実用化は容易ではありません。

出展:日産自動車ニュースルーム

公共交通機関ではすでに自動運転は実用化されている

自動車の世界では超えなければならないハードルも多い自動運転ですが、すでに世界各国では身近に自動運転を可能にしているインフラが存在します。それが公共交通機関です。

東京のお台場を回るゆりかもめなどのAGT(自動案内軌条式旅客輸送システム)や新交通システムと呼ばれているシステムは、基本の運行を自動かつ無人で行っています。

正確に言えば、車両の運行はATOと呼ばれる自動列車運転装置によって行われており、基地司令所などで管理され、万が一の際は有人による運行も可能にしています。

AGTの多くはゴムタイヤを使い専用軌道を走行します。そもそも自動運転なのでヒューマンエラーというものが存在しません。専用軌道と相まって事故が極めて少ないのも特徴です。

すでに欧州では専用レーンを走るバスで自動運転を採用

一方、欧州では「City Mobile 2」という無人運転を実現する公共交通システム(バス)が実用化されています。専用レーンを走るとはいえ、バスですから車線からはみ出したり、他の車両との追突の可能性もあります。しかしこれらの問題は磁気マーカーを使い車線をキープし、障害物を検知した場合にてブレーキを作動させることで解決しています。

さらに昨年、この「City Mobile 2」から派生した「ARMA」と呼ばれる15名乗りのEVバスが登場しました。わずか500mの距離ですが、世界初の完全無人自動運転を可能にしました。この運行システムはベンチャー企業が開発したもので、現在考えられるほぼすべてのセンサー類を搭載。これにより車両の位置誤差はわずか2cmという高いレベルを実現しています。またシステムにトラブルが発生しても遠隔操作でそのまま走らせることも可能です。

東京では2020年を目処に自動運転バスを導入

日本も自動走行技術を活用したART(Advanced Rapid Transit)と呼ばれる次世代地域公共交通技術を2020年を目処に導入する予定があります。これは自動運転でレベル2相当のものを搭載しており、従来のバスよりはるかにスムーズな加減速を実現します。これにより路線バスで度々起きている乗客の転倒防止にも自動運転技術が役立つことがわかっています。

また今後は前述した「ARMA」のように限定された地域でのコミュティ型小型自動運転システムによる自動運転サービスも検討されています。これにより高齢者や交通制約者にも優しい社会インフラを提供することができます。

限られたルートを走る新交通システムやコミュニテイ型交通機関と違い、クルマは道路交通法で定められたルール内であれば自由に動くことができます。それゆえに技術面や法整備など、導入に際しての障壁が多くなるのです。
公共交通機関にはそれに相応しい姿や使われ方があり、自動運転の技術はこれらにも応用されることで、我々の生活はさらに安全かつ快適になっていくはずです。

文章:高山 正寛(たかやま せいかん,TAKAYAMA-Seikan)

1959年生まれ。自動車専門誌で20年以上にわたり新車/カーオーディオ/カーナビゲーションなどの記事を担当し、フリーランスへ。途中、エンターテインメント業界で5年間ゲーム関係のビジネスにも関わる。カーナビゲーションはもちろんITS(高度道路交通システム)、先進安全技術、自動運転など各自動車メーカー、サプライヤー、官庁関連への取材多数。自動運転に関しては連携も考慮し、通信/PCを含めたデジタルビジネスの領域にも精通する。また自動車を産業面やマーケティング、組織、人材面からも捉え、アナリストとの連携も行うなど独自の取材スタンスを取り続けている。 2015-2016日本カーオブ・ザ・イヤー選考委員、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

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