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  • Jul.13
  • Academic

クルマの技術進化とインフラ整備

自動運転は2つの方式が開発されています。クルマ自体にセンサーなどを搭載して制御する「自律型」と通信などを使用して外部から情報を取得して、車両を制御する「協調型」です。将来的にはこの2つがお互いに補完し合うことになりますが、現在のところ自動車メーカーが主導となる自律型の開発がリードしています。それはこれまで開発した安全運転支援システムを組み合わせて進化させているからです。自動運転の実現のためにはその根本となる技術の進化は欠かすことができません。さらにクルマは道路を走ることが基本となりますので、法整備も含めたインフラ整備も必要です。技術の進化とインフラの整備の両輪により、自動運転は実現できるのです。

出展:日産自動車ニュースルーム

自動運転を行うためにはセンサーや通信で得た情報を使って車両制御を行うことが求められます。これが自動運転における「認知」「判断」「操作」の3要素になるわけですが、最初にどれだけ車両周辺の状況や情報を収集(認知)できるかがポイントとなります。これを行うために自動運転の世界では「自律型」と「協調型」の2種類のシステムが存在します。

「自律型」はすでに実用化されている技術が多い

まずは「自律型」ですが、これは読んで字の通り独立したシステムのことで車載センサー(カメラやレーダーなど)を使い、先行車や歩行者、白線等を認識する技術です。すでにACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)や衝突被害軽減ブレーキなどでも実用化されている技術なので、馴染みがある人も多いと思います。

そしてもうひとつが「協調型」と呼ばれるものです。これが外部から提供される各種情報を車両側が通信等を使って取得する方法です。これらは「V2X(Vehicle-to-X)」と呼ばれる技術で協調型では欠かせないものです。

V2Xですが、この中には車両と人との情報をやりとりするV2P(Vehicle-to-Pedestrian:歩車間通信)、車両同士で情報をやりとりするV2V(Vehicle-to-Vehicle:車車間通信)、そして車両と道路等に設置されている通信機器で情報をやりとりするV2I(Vehicle-to-Infrastructure:路車間通信)が含まれます。

自動運転の実現には「自律型」と「協調型」のシステムがお互いの足りない点を補完しあうことが重要とされています。

「協調型」は広範囲をカバーできる

現在では自車の周辺で機能する「自律型」が先行しており、高速道路において車線を認識し車両が逸脱しないようにするシステムなど、自動運転の世界では単独で機能させることが可能です。「自律型」は開発が先行している分、コスト低減や性能向上などにより、普及が早まります。

一方で「協調型」は広範囲の道路交通に関わる情報を得ることが可能です。例えば全国の高速道路などに設置されているETC2.0(ITSスポット)は大容量のデータを高速かつ双方向でやりとりができます。これを活用することで前述したV2Iにより、見通しが悪い急カーブなどでもドライバーに喚起を促しつつ、自動で車速を落とし、ステアリングを操舵することも可能になります。またV2Vの場合は相手の車両の速度や位置も取得することで自動運転による隊列走行(カルガモ走法と呼ばれることもある)も可能にします。

また安全面でも見通しの悪い交差点での出会い頭の衝突事故を低減させることにも役立ちます。これは歩行者に関しても同じで歩行者側からの情報が車両に届くことで自動運転に必要な要素のひとつでもある「予測」、つまり一歩先を車両側が常に把握し対応できるメリットもあるのです。

出典:首相官邸ホームページ 官民 ITS 構想・ロードマップ 2016資料(※外部サイトにリンクします。)

「協調型」を普及させるためにはクルマの代替が伴う

「協調型」の実現には、普及とインフラ、に課題があります。

例えば前述したV2Vを使った隊列走行、これを実現するためには双方のクルマに同様のシステムが搭載されている必要があります。「自律型」の場合は自動運転を行う側のクルマだけに付いていれば可能ですが、協調型の場合はより高度な制御や操作を行うために双方に必要となります。

出典:首相官邸ホームページ 官民 ITS 構想・ロードマップ 2016資料(※外部サイトにリンクします。)

また従来以上に自車位置精度を高めるために測位衛星の誤差改善や従来とは比較にならない高精度な地図データ(ダイナミックマップ)などの整備も必要となってきます。

これらの技術は日々進化しています。先行している「自律型」に加え「協調型」も将来的には本来の目的であるお互いを補完しあう関係になることは充分可能でしょう。

文章:高山 正寛(たかやま せいかん,TAKAYAMA-Seikan)

1959年生まれ。自動車専門誌で20年以上にわたり新車/カーオーディオ/カーナビゲーションなどの記事を担当し、フリーランスへ。途中、エンターテインメント業界で5年間ゲーム関係のビジネスにも関わる。カーナビゲーションはもちろんITS(高度道路交通システム)、先進安全技術、自動運転など各自動車メーカー、サプライヤー、官庁関連への取材多数。自動運転に関しては連携も考慮し、通信/PCを含めたデジタルビジネスの領域にも精通する。また自動車を産業面やマーケティング、組織、人材面からも捉え、アナリストとの連携も行うなど独自の取材スタンスを取り続けている。 2015-2016日本カーオブ・ザ・イヤー選考委員、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

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