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  • Jul.13
  • Academic

自動運転の課題

自動運転を実用化するには、より高度なシステムの開発、インフラの整備、そして法律の改正の3つの課題があります。したがって「クルマが自動で目的地まで連れて行ってくれる」という自動運転が実用化されるためには、まだまだ時間が必要です。

自動運転実用化に向けての課題とは

交通事故の減少や運転の快適性の向上などで期待の高い「自動運転」ですが、人々がイメージする自動運転が実用化された社会となるためには越えなければいけない高いハードルがいくつも存在します。それは自動車自体のテクノロジーの進化と法律も含めた社会インフラの整備です。

例えば、自動運転には現行不可欠とも言える道路の車線。これがかすれていたり、天候によって歩行者や標識が認識できないといった問題に関してはインフラ側の整備も重要ですが、そもそもそれを認識する車両側のセンサー技術の高精度化も必要です。
また市街地では急な人の飛び出しや後方から接近し死角となる自転車など人が原因となる予測しづらい出来事が起きる可能性は非常に高いです。人間でも同じことですが、これを自動運転に当てはめるとそういった様々な事象に対して予知、判断、回避などを行うAI(人工知能)の領域も求められるというわけです。

さらに単独の機能向上だけでなく、外部からの情報を取得し活用することも必要となってきます。例えばカーナビゲーションシステムが渋滞情報を取得することで空いているルートを案内してくれるということもこの機能に該当しますが、前方を走っている交通量や速度は単独で識別できても“その先”の目に見えない交通状況は自動運転には欠かせない情報のひとつです。

自動車は運転者の存在が不可欠

自動車に関する法整備でポイントとなるのが「ジュネーブ道路交通条約」と「道路交通法」です。これは1949年にジュネーブで採択された道路交通に関する国際条約で、日本はこれに締結し1964年から発効していますが、この中に以下のことが明記されています。

第8.1条:一単位として運行されている車両又は連結車両にはそれぞれ運転者がいなければならない。
第8.5条:運転者は、常に、車両を適正に操縦し、又は動物を誘導することができなければならない。運転者は他の道路使用者に接近するときは当該他の道路使用者の安全のために必要な注意を払わなければならない。(抜粋)

そして1960年に施行された道路交通法にも以下のことが明記されています。
第七十条:車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない(抜粋)

出典:国土交通省 オートパイロットシステムに関する検討会資料(※外部サイトにリンクします。)

つまり、現行の制度下において実現可能な自動運転に関してはドライバーの制御下にあることが前提、つまり無人運転という概念は現行では実現できません。

もし自動運転中に事故が起きてしまった場合、「レベル2」(部分的な自動化)までの自動運転であれば刑事上の責任は原則運転手にあると言われていますが、システムが進化して今後「レベル3」(条件付き自動化)へ移行した際の責任の所在はまだ明確になっていません。事故を起こしたクルマの持ち主だけでなく、自動車メーカーやサプライヤーにまで責任が及ぶ可能性もあります。

ステアリングがない車両は日本の現行法律では
走行することができない

警察庁では「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン(案)」を策定し公表しており、その中では「テスト中はステアリングから手を離しても良いが、見通しの悪い場所ではステアリングを持つか、瞬時に持てる至近距離の位置に保つべき」とされています。

出典:e-Govウェブサイト 自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン(案)(※外部サイトにリンクします。)

また自動運転といえばステアリングがない車両を想像する人もいると思いますが、そもそもステアリングがない車両は日本の現行法律では走行することができません。自動運転は様々な考え方がありますが、これらを官民含めてどうコントロールするかで未来は大きく変わってくるでしょう。

文章:高山 正寛(たかやま せいかん,TAKAYAMA-Seikan)

1959年生まれ。自動車専門誌で20年以上にわたり新車/カーオーディオ/カーナビゲーションなどの記事を担当し、フリーランスへ。途中、エンターテインメント業界で5年間ゲーム関係のビジネスにも関わる。カーナビゲーションはもちろんITS(高度道路交通システム)、先進安全技術、自動運転など各自動車メーカー、サプライヤー、官庁関連への取材多数。自動運転に関しては連携も考慮し、通信/PCを含めたデジタルビジネスの領域にも精通する。また自動車を産業面やマーケティング、組織、人材面からも捉え、アナリストとの連携も行うなど独自の取材スタンスを取り続けている。 2015-2016日本カーオブ・ザ・イヤー選考委員、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

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